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Making of フットワークは音速
◆後日談 05.11.05
密集する選手のなかで、信本君が挨拶に来てくれたおかげでホッと安心。慣れない会場で距離も遠く、顔と名前とユニフォームの確認作業に気を使わねばならないのだ。これなら最悪でも信本君は間違えずに済む。安堵で胸をなで下ろしているのに、本人はいたって地味に大変恥ずかしそうに後ろに控えていた。平静な感じで殺気立つ様子もなく、舞台映えもよさそうだし、これなら余計な消耗をしなくてすみそうだ。問題はリング上での動き方にタイミングが合わせられるかどうか。バンタムだとぎりぎりってところだ。
初めての国体。まだタイムラグがつかめず、カットの半分以上は失敗に終わっていた。また、常に好奇と疑惑の目に晒されているようで、会場にいる間中、緊張が解けなかった頃だ。
まずは最重要なポジションだが、今誰の番なのか、どこにナニがあって誰が何をしているのか分からない。欲しいアングルが決められないまま、試合はどんどん進行する。焦りと動揺が顔に出ないようにして、名簿を見て、リーグではアクシデントで取り損ねた分に印をつける。
さて視察員席に案内されたはいいが、リングまで5.5メートル。リングの全長を入れると約11.5メートル。やや蛍光系のデイライトの照明はリング上にあるものの、シャッタースピードは後楽園とさほど変わらない。しかもA,B両リング間を移動するのだが、その度に席が埋まってしまうので、ポジションを選ぶ余裕がない。
信本君は素直に私に任せてくれているのか、ポートレートの時はきりりとした表情を見せ、いいテンションだ。信じてもらえるといいノリでいい仕事ができるというものだ。
その場で現像にだし、プリントを確認。何点か使えそうだ、ああよかった。
仕上がったときの本人の驚きが面白そうだった。
ロマンスカーで新宿に向かう中、窓の外の夜はビロードのように心地よかった。
あまりに早く体を入れ替え、回りこむためリーグでは撮影をあきらめたといういわくつき逸品が今回かろうじて成功!。Ruby泣かせのそのスタイルは本当に撮影そのものが難しく、人一倍多くのフィルムを必要とした。ようやく成功した中で、その個性と表現のバランスをはかり、「波に乗るサーフボード」「滑降してくるスノーボード」「加速、音速」そして「捕らえられない忍者」などのイメージでパンチよりもフットワークを強調してみた。夏の陽の影分身のごとし。なんとかつじつまが合っただろうか。
2003.埼玉にて 全日本アマチュアボクシング選手権
法政大学/信本 巌
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